施設概要:硬蛋白質利用研究施設

沿革

硬蛋白質利用研究施設は、昭和44年6月農学部附属皮革研究施設として設置された。
本研究施設が設置された経緯およびその後の活動において、皮革およびその関連分野の科学技術に特異な性格があることが大きな役割をもっている。この分野を専門的科学技術分野としてみると、知識情報の革新への活動が相対的に弱く、産業的利用基盤を支える研究開発、新技術の開発および国際対応が強く求められていた。皮革の生産は、昭和20年までは主に軍需用として国策と結び付けられていた。終戦後民需の急速な成長に伴い、専門化した規模の小さい多数の生産単位からなる産業構造が形成され、資源利用と環境問題への対応という世界的潮流の中で、多くの課題に関して研究開発への公的支援が求められた。

昭和30年代には、皮革等に関わる研究を行っていた大学は21大学、公的研究機関も通商産業省東京工業試験所第七部(以下東工試7部)を始め9機関あり、皮革科学技術の発展、硬タンパク質の基礎科学および産業利用に関して研究交流、環境保護等に貢献した。これらの活動は特に日本皮革技術協会(昭和30年5月設立)との連携の他、国内規格(JIS)、国際規格(ISO)などの行政的活動との連携を通じて推進された。しかし東工試7部の皮革関連業務廃止決定で、研究および国内産業界との連携や国際的対応が決定的に弱体化することとなり、早急な対応が迫られた。当時の通産省、文部省、産業界の話し合いで、本学農芸化学科畜産物化学研究室(現応用生物科学科食品化学研究室)の皮革および関連分野に関する多くの研究実績があることから、本学(井上吉之学長)に国立の研究施設を設置することにより、皮革関連分野の研究教育の推進と従来東工試7部果たしてきた役割を継承させることが了承された。その結果、通産省から教授相当職2籍を文部省に移管し、文部省は助教授2、助手2、技官1籍を純増で配置する異例な措置によって、次の目的をもった2部門からなる皮革研究施設が設置された。

昭和44年(1969年)6月 皮革研究施設が設置され、まず基礎皮革研究部門が置かれた。
昭和45年(1970年)4月 応用皮革研究部門が増設された。
昭和46年(1971年)5月 皮革研究施設の研究棟が新営された。
昭和51年(1976年)4月 皮革研究施設の名称を、現在の硬蛋白質利用研究施設に変更し、研究部門を再編成して、硬蛋白質基礎研究部門と皮革研究部門とした。