基礎研究部門
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研究テーマ

硬タンパク質とこれに関連する生体高分子の特性と生物機能を、細胞、組織、臓器、個体レベルで分子生物学的、細胞生物学的に解析し、新しい生物機能をもつ有用素材開発や生体機能制御をめざした基礎研究を中心に研究活動を推進している。

  • 動物再生医療における基盤整備に関する研究

    JRA・競走馬総合研究所との共同研究により、ウマ胎児線維芽細胞から新たに38クローンのiPS細胞(eiPSC)を樹立し、ES細胞マーカーであるNanog、DPPA3およびZFP42の発現を比較し、高いES細胞マーカー発現を示す12クローンを選択した。
    これらの12クローンより胚葉体を作製し中胚葉への分化誘導を行ったところ、ほぼ全てのクローンで筋分化マーカーが検出された。さらにこれらの12クローンから間葉系幹細胞の誘導を試みたところ、そのうちの3クローンで骨、軟骨、脂肪への分化能を有する間葉系幹細胞が樹立された。

  • iPSCからの筋分化誘導に関する研究

    日本ハム・中央研究所との共同研究により、ブタiPS細胞由来間葉系幹細胞 (piMSC) およびいくつかの組織由来線維芽細胞からの筋分化誘導を試みた。
    まず、ブタMyoD1およびmyogeninをエピソーマルベクターへクローニングし得られたプラスミドを上記細胞へトランスフェクションを行い、5‘-アザシチジン前処理の後に、insulin-like growth factor-1 (IGF-1)、アスコルビン酸および2%ウマ血清を含むDMEMにより筋分化誘導を実施した。
    その結果、piMSCおよびいくつかの線維芽細胞において、ミオシン重鎖(MHC)、トロポニンT1、トロポニンT3等の筋分化マーカーの発現が確認された。
    また、継代に伴うゲノムDNAからのエピソーマルベクターの消失の程度を追跡したところ、いくつかの線維芽細胞において、PDL-10前後でエピソーマルベクターのゲノムDNAからの消失が確認されたが、piMSCではPDL-10においてもエピソームの残存が見られた。

  • 腱分化形質発現に関する研究

    8クローンのeiPSCから調製した胚葉体をマトリゲルへは種子、腱分化誘導因子であるGDF-を添加したところ、いくつかのeiPSC由来胚葉体からアウトグロースした細胞の細胞膜上で腱分化マーカーであるテノモデュリンの発現が確認された。
    また、ブレビバチルス発現系によりテノモデュリンの組換えタンパク質をしたところ、膜貫通ドメインを有する全長テノモデュリンは、ブレビバチルス菌体内に保持されたが、細胞外ドメインのみを発現させたところ、培地内に可溶性テノモデュリンとして発現させることに成功した。