発表:皮革研究部門

発表論文

  • Systematic investigation of the skin in Chst14-/- mice: A model for skin fragility in musculocontractural Ehlers-Danlos syndrome caused by CHST14 variants (mcEDS-CHST14). Glycobiology. 2021 Feb 9;31(2):137-150. doi: 10.1093/glycob/cwaa058.
    T Hirose, S Mizumoto, A Hashimoto, Y Takahashi, T Yoshizawa, Y Nitahara-Kasahara, N Takahashi, J Nakayama, K Takehana, T Okada, Y Nomura, S Yamada, T Kosho, T Watanabe.
    CHST14のノックアウトは、デルマタン4-O-スルホトランスフェラーゼ欠損を引き起こし、筋収縮性エーラス・ダンロス症候群-CHST14(mcEDS-CHST14)と呼ばれるデコリングリコサミノグリカン(GAG)鎖のデルマタン硫酸(DS)が完全に欠損し、コンドロイチン硫酸(CS)に置き換えられる。最近、mcEDS-CHST14患者の皮膚におけるGAG鎖の構造変化を発見した。本研究では、Chst14遺伝子欠失ホモ接合体(Chst14-/-)マウスの最初の体系的な調査を実施した。野生型(Chst14+/+)およびChst14-/-マウスの皮膚サンプルを使用した。皮膚の機械的脆弱性を引張試験で測定し、病理組織解析は光学顕微鏡でデコリン免疫組織染色像を観察した。また、キュプロメロンブルー(CB)染色像は、電子顕微鏡(EM)を使用した。CSおよびDSの定量は、コンドロイチナーゼ消化物をHPLCで解析した。Chst14-/-マウスでは、Chst14+/+マウスと比較して、皮膚の引張強度が大幅に低下した。EM観察では、コラーゲン原線維がさまざまな方向に配向して、網状層に無秩序なコラーゲン線維を形成することを示した。CB染色像により、Chst14+/+マウスでデコリンが丸くコラーゲンフィブリルを包んでいるのとは対照的に、棒状の線形GAG鎖が一端でコラーゲンフィブリルに付着し、フィブリルの外側に突き出ていた。HPLCの結果により、Chst14-/-マウスの皮膚で非常に低レベルのデルマタン硫酸二糖類が検出できた。Chst14-/-マウスは、皮膚のデコリンおよびコラーゲンネットワークのGAG構造に同様の異常を示すことから、mcEDS-CHST14の患者の皮膚の脆弱性の合理的なモデルであり、皮膚の強度を維持する上でのDSの機能が明確にできた。
  • A new mouse model of Ehlers-Danlos syndrome generated using CRISPR/Cas9-mediated genomic editing. Dis Model Mech. (2021) Dec 1;14(12):dmm048963. doi: 10.1242/dmm.048963. Epub 2021 Dec 23.
    Y Nitahara-Kasahara, S Mizumoto, Y Inoue, S Saka, G Posadas-Herrera, A Nakamura-Takahashi, Y Takahashi, A Hashimoto, K Konishi, S Miyata, C Masuda, E Matsumoto, Y Maruoka, T Yoshizawa, T Tanase, T Inoue, S Yamada, Y Nomura, S Takeda, A Watanabe, T Kosho, T Okada.
    筋収縮性エーラス・ダンロス症候群(mcEDS)は、デルマタン4-O-スルホトランスフェラーゼ1(D4ST1)(mcEDS-CHST14)をコードするCHST14の遺伝子変異によるデルマタン硫酸(DS)の欠損によって引き起こされる。本研究では、Chst14を欠損したノックアウトマウスの周産期の致死性を克服するために、CRISPR / Cas9ゲノム改変を用いたmcEDS-CHST14のマウスモデルを作製した。変異マウスは、成長障害や皮膚の脆弱性などを示した。特に、ミオパチー関連の表現型が認められ、筋組織病理において繊維サイズの変化と筋間質の広がりを示した。デコリンは、野生型マウスとは異なり、骨格筋の筋内膜と筋周膜に拡散して局在していた。変異マウスは、野生型と比較して握力が低く、運動能力が低下しており、形態計測評価により、変異マウスで胸椎後弯が示された。CRISPR / Cas9で作成したChst14変異マウスは、mcEDSの病態生理学の理解を深め、新しい治療戦略の開発を支援するための有用なモデルとなる可能性がある。 (本研究におけるモデルの作出および表現型の解析を担当した。)
  • Hyaluronan degradation and release of a hyaluronan-aggrecan complex from perineuronal nets in the aged mouse brain. Biochimica et Biophysica Acta (BBA)-General Subjects 1865(2) 129804-129804.
    Sugitani K, Egorova D, Mizumoto S, Nishio S, Yamada S, Kitagawa H, Oshima K, Nadano D, Matsuda T, Miyata S. (2021)
    老齢マウス脳ではヒアルロン酸とアグリカンの分解によって、ペリニューロナルネットの凝集性が低下することが示された。この加齢に伴うペリニューロナルの劣化が脳機能低下に関与する可能性を提示した。

総説、著書、解説

  • コラーゲン 診断と治療
    109(8): 1095-1104.
    野村義宏(2021)
    運動機能改善食品としてのコラーゲン加水分解物およびⅡ型コラーゲンの効果に関して解説した。
  • Structural and functional remodeling of the extracellular matrix during brain development and aging.
    Trends in Glycoscience and Glycotechnology 33(194) E79-E84
    Miyata S. (2021)
    中枢神経系の発生と老化における細胞外マトリックスのリモデリングについて解説した。

特許、その他

  • 関節の抗炎症剤
    特願2021-138198
    発明者:原田清佑、藤本直樹、近藤江里子、高瀬幸弘、中井章人、野村義宏、小林茉里奈
    出願人:ダイドーグループホールディングス(株)
  • 節滑膜の抗炎症剤
    特願2021-138199
    発明者:原田清佑、藤本直樹、近藤江里子、高瀬幸弘、中井章人、野村義宏、小林茉里奈
    出願人:ダイドーグループホールディングス(株)

学会発表

  • リンゴ未熟果実由来ポリフェノール抽出物が外傷性膝OAモデルラットに与える影響
    日本ポリフェノール学会 2021.9.10-11
    小林麻里奈1,野村義宏1,原田清佑2(1農工大応生,2ダイドードリンコ(株))
  • シャクヤク抽出物の光老化改善効果
    日本ポリフェノール学会 2021.9.10-11
    須さくら、末続愛華、渡部睦人、野村義宏
  • 筋性拘縮モデル動物へのオリーブ葉抽出物の影響
    ファンクショナルフード学会 2022.1.8
    加藤里奈、松尾俊樹、坂本明穂、野村義宏
  • A RAPID AND HIGH-THROUGHPUT METHOD FOR ANALYZING MOLECULAR WEIGHT OF HYALURONAN IN ANIMAL TISSUE SAMPLES
    The 13th conference of the International Society for Hyaluronan Sciences, Hyaluronan 2021, 2021年6月15日, オンライン開催
    Diana Egorova* and Shinji Miyata
  • 発生期の大脳皮質で形成されるヒアルロン酸を含む細胞外マトリクスの解析
    第40回日本糖質学会年会, 2021年10月29日, かごしま県⺠交流センター
    武渕明裕夢, 武智美奈, 佐藤ちひろ, 北島健, 北川裕之, 宮田真路
  • 胎仔期大脳皮質においてヒアルロン酸/ニューロカン/テネイシンCの三者複合体が形成される
    第94回日本生化学会大会, 2021年11月3日, オンライン開催
    武渕明裕夢, 武智美奈, 佐藤ちひろ, 北島健, 北川裕之, 宮田真路
  • ビタミンC欠乏はACTH非依存的に副腎での糖質コルチコイド合成を増加させる
    第94回日本生化学会大会, 2021年11月3日, オンライン開催
    小森美優, 後藤駿太, 川出野絵,大島健司,灘野大太,堀尾文彦,松田幹,宮田真路
  • Chst14欠損マウスにおいて、XV型コラーゲン上のデルマタン硫酸が減少する
    第2回 エーラス・ダンロス研究会, 2021年12月11日, オンライン開催
    宮田真路, 野村義宏

講演、セミナーなど

  • コラーゲン摂取効果
    ifia JAPAN 2021.5.13
    野村義宏
  • コラーゲン
    皮革セミナー 都立皮革技術センター 2021.11.11 東京
    野村義宏
  • 脳における食餌性ビタミンCの重要性:全身性ホルモン応答を介した新たな生理機能の解明
    アサヒグループ学術振興財団2020年度研究報告会, 2021年10月25日, オンライン開催
    宮田真路
  • 臨界期を決定するペリニューロナルネット成熟機構の解明
    臨界期生物学令和3年度領域班会議, 2022年1月13日, オンライン開催
    宮田真路

学会役員・委員、外部機関の委員など

  • 日本皮革技術協会・理事長(野村)
  • 日本皮革研究所・評議員)(野村)
  • ファンクショナルフード研究会(旧グルコサミン研究会)・副会長(野村)
  • ヒアルロン酸機能性研究会・副会長(野村)

学術論文審査

  • J Chem Soc of PAKISTAN, Histology and Histopathology, FSHW, JCSP, J Photochem Photobio B (2), BBB (7件)
  • MOLN-D-21-00816, Glyco POD_59, Glyco POD_68, Glyco POD_81, Glyco POD_82, Glyco POD_86, Glyco POD_104, Glyco POD_108, polymers-1518521, NSR-D-22-00072, Front Cell Dev Biol 745372.(11件)