概要:皮革研究部門

研究テーマ

硬タンパク質および関連⽣体⾼分⼦の構造と機能解析を基盤とした有⽤素材化技術、⽪⾰等動物資源由来および関連物質の製造における新規利⽤に関する研究を⾏っている。

⽇本⽪⾰技術協会の会⻑として協会の運営に関与し、⽪⾰技術の⾰新に助⾔を⾏って いる。また、ファンクショナルフィード学会の副会⻑を務めており、機能性素材のトピックスとして、加⽔分解コラーゲンに関する研究を紹介した。

関係⼤学、公設試および企業との共同研究を積極的に展開している。科研費基盤研究B「筋拘縮型エーラス・ダンロス症候群の病態解明に基づくデルマタン硫酸の統合的理解」において、ノックアウトマウスの解析、Ⅰ型コラーゲンとデコリンの相互作⽤に関する研究を推進した。

企業との共同研究において、変形性関節症モデルマウスを用いた症状改善効果に関する研究、筋肉減少症モデルにおける筋肉量の改善に関する研究、加水分解コラーゲンの適正分子量に関する研究を実施した。

  • 皮革関連事業

    経済産業省「環境対応革」の事業として、兵庫県工業試験所 皮革指導所との共同研究で、高濃度コラーゲン溶液から紡糸した医療用材料の物理化学的特性解析、およびマウスへの埋植試験を実施した。 また、旭陽化学工業(株)との共同研究でコラーゲンの利用に関する研究を行っており、加水分解コラーゲンの製造法に関する特許を出願した(特願2019-230967「低分子コラーゲンペプチド組成物及びその製造方法」発明者:野村義宏、田寺宣文、土居昌裕、岸部裕之 出願人:東京農工大学、旭陽化学工業(株))

    関連リンク:日本皮革技術協会都立皮革技術センター兵庫県立工業技術センター 皮革工業技術支援センター旭陽化学工業(株)
  • 羽毛リサイクル研究

    (株)東洋羽毛工業との共同研究を通して、羽毛可溶化物の工業的利用を可能とするための基礎研究を行っている。

    関連リンク:(株)東洋羽毛工業
  • 機能性食品や化粧品原料の効果・効能研究

    機能性食品や化粧品原料の効果・効能を明らかにする目的で、動物モデルおよび細胞を用いて評価した。本年度は、新日本製薬(株)と共同研究を行った。加齢老化皮膚モデルを創製し、その評価を中心に研究を行った。

    関連リンク:新日本製薬
  • 運動器疾患における機能性食品の効果に関する研究

    モデル動物を用いて変形性膝関節症に関する研究を実施している。これまでの成果をプロテオグリカン国際学会で発表した(プロテオグリカン国際学会(Proteoglycans 2019)9.29-10.3 金沢、丸山拓馬、上濱春佳、渡部睦人、野村義宏「Salmon nasal cartilage proteoglycan prevents cartilage degeneration in osteoarthritis of STR/Ort mice」)。 本年度は、ダイドードリンコ(株)との共同研究で鮭氷頭由来プロテオグリカンの変形性膝関節症の改善効果を補助する素材に関する研究を行った。また、(株)シュガーレディ化粧品のコラーゲンの摂取効果に関して運動器疾患モデルを用いて評価する予定である。 昨年度の共同研究の成果を特許出願した(特願2019-109926「変形性関節症又は改善剤」発明者:野村義宏、田向常城  出願人:東京農工大学、(有)田向商店、(株)さぬき健康本舗)。

    関連リンク:プロテオグリカン国際学会、ダイドードリンコ(株)、(有)田向商店、(株)さぬき健康本舗
  • 難治性疾患実用化研究事業

    科研費基盤研究B「筋拘縮型エーラース・ダンロス症候群の病態解明に基づくデルマタン硫酸の統合的理解」信州大学医学部 研究代表者 古庄知己に参画し、ノックアウト動物の解析に関する研究を行った。 患者由来皮膚線維芽細胞の産生するデコリンの構造解析を中心に研究を進め、Ⅰ型コラーゲンとの相互作用に関する研究を推進した。その成果を国際学会で発表した(EDS国際学会(Rarer types of Ehlers-Danlos syndromes) 2019.11.18-19 東京 野村義宏「Structural change of decorin from dermatan sulfate to chondroitin sulfate affects type I collagen fibril reconstitution.」)。

    関連リンク:信州大学医学部
  • マスト細胞を中心とした疾患に関する研究

    科学研究費 基盤Sで採択された研究課題「マスト細胞活性化症候群を基盤とする難治性炎症性病態の比較動物学的再定義」東京農工大学大学院 研究代表者 松田浩珍に参画し、変形性膝関節症モデルを用いた研究を行い、論文投稿した。

    関連リンク:農工大・松田研
  • 神経細胞周囲の細胞外マトリクス構成分子群における老化変性

    特定の神経細胞周囲にはペリニューロナルネット (PNN) と呼ばれる特徴的な細胞外マトリクス構造が形成される。 PNNはヒアルロン酸 (HA) とコンドロイチン硫酸プロテオグリカン (CSPG) らが凝集して形成する、巨大な分子複合体である。 最近の研究からPNNは、神経回路の安定化や記憶の維持に必要であることが明らかとなっており、老化に伴う脳機能の低下とPNNとの関連が注目されている。 成体(3ヶ月齢)および老齢(18ヶ月齢)マウスの脳に存在するPNN構成分子群を溶解度の違いに基づき、水溶性、界面活性剤可溶性、尿素可溶性の3画分に分画した。コンドロイチン硫酸 (CS) とHAの化学分析から、これらのPNN構成分子は老化に伴い溶解度が上昇することが示唆された。 さらに調べたCSPGの中でアグリカンが特に顕著に、老化に伴い尿素可溶性から界面活性剤可溶性画分に移行することが示された。また、アグリカンの溶解度の増加にアグリカンの分解が関与する可能性が考えられた。ADAMTSおよびMMPよるアグリカンの分解は成体期から老齢期にかけて恒常的に起こっていた。 しかし老齢脳には、ADAMTSおよびMMPによって切断されたアグリカンがさらに分解を受けた断片が蓄積することが明らかとなった。老齢脳ではアグリカンの分解によって、PNNの凝集性が低下する可能性がある。

  • 大脳皮質の発達における細胞外マトリクス分子の機能解析

    本研究では、主要な細胞外マトリクス分子であるヒアルロン酸に着目し、神経細胞の放射状移動におけるヒアルロン酸の機能の解明を目指した。 マウス脳におけるヒアルロン酸を定量したところ、胎生後期から生後初期にかけてその量が増加し、その後成長する過程で減少することが分かった。 セルソーターによって分取した移動中の細胞は、ヒアルロン酸合成酵素 (HAS) のうち、Has2とHas3を発現することが示された。 また、ヒアルロン酸は、初代培養神経細胞の細胞体および神経突起の周囲に粒子状に存在しており、細胞と培養基質との接着面に集積していた。 移動中の神経細胞には、ヒアルロン酸結合ドメイン含有タンパク質の中でも神経組織特異的な分泌性プロテオグリカンであるニューロカンが発現しており、ニューロカンとヒアルロン酸の結合が生化学的に示された。 さらに、細菌由来ヒアルロニダーゼを側脳室に注入すると、ニューロカンの局在がより均一な分布へ変化したことから、生体内でも両者が相互作用することが示された。 以上の結果から、移動中の神経細胞が合成するヒアルロン酸が大脳皮質形成期における神経細胞と細胞外基質との接着に関与することが示された。

  • 食餌性ビタミンCの新たな生理機能:脳でのストレス応答における役割の解明

    ビタミンC (VC) は、抗酸化作用を有しており、体内の活性酸素種を除去することで老化や生活習慣病、神経変性疾患の原因となる酸化ストレスの蓄積を抑えると考えられている。 本研究では、ヒトと同様にビタミンC合成酵素を欠損するODSラットを用い、2週間のビタミンC欠乏が脳の遺伝子発現に与える影響をRNA-Seq解析によって網羅的に調べた。 予想に反して、2週間という比較的短期間のビタミンC欠乏では酸化ストレスに関連する遺伝子の発現変動は見られなかった。 しかし興味深いことに、ビタミンC欠乏によって発現が変動する遺伝子の多くは、核内グルココルチコイド受容体により発現制御を受ける遺伝子であることが、バイオインフォマティクス解析から示された。 つまり、2週間のVC欠乏によりACTH非依存的に血中グルココルチコイド濃度が上昇し、その結果、下流遺伝子の発現が変動することが明らかとなった。 過去の研究からVC欠乏による脳機能の低下には酸化ストレスが関与すると考えられていたが、本研究により脳の酸化ストレスだけでなく、グルココルチコイド応答の異常な活性化が脳機能低下に寄与する可能性が示唆された。

構成員

教授 野村 義宏(大学サイト内へリンク)
准教授 宮田 真路
研究員
  • 横野 智砂子
  • 渡部 睦人
  • 首藤 典正
博士2年
  • 大橋 啓吾(社会人博士)
    研究テーマ:加水分解コラーゲンの抗ロコモティブシンドローム効果
  • 石岡 樹成(社会人博士)
    研究テーマ:開発途上国向けワクチンに関する研究
博士1年
  • 古川 智子
    研究テーマ:農福連携による未熟果実の利用に関する研究
修士2年
  • 近藤 将人
    研究テーマ:加水分解コラーゲン摂取による廃用性筋肉萎縮の改善効果
  • 山名 佐也加
    研究テーマ:低分子コラーゲンペプチドの光老化皮膚の改善効果
修士1年
  • 加藤 里奈
    研究テーマ:納豆および関連物質の摂取効果
  • 小林 麻里奈
    研究テーマ:変形性関節症の改善効果を示す機能性素材の探索
  • 望月 萌恵
    研究テーマ:低分子コラーゲンペプチドの機能解析
学部4年
  • 小海 将史
    研究テーマ:サメ軟骨の有効利用
  • 小森 美優
    研究テーマ:ビタミンCの新たな生理機能の探索
  • 那須 さくら
    研究テーマ:芍薬花卉抽出物の機能性評価
  • 武渕 明裕夢
    研究テーマ:神経系におけるプロテオグリカンの機能解析
  • 王 璐瑤
    研究テーマ:基原の異なるコラーゲン加水分解物の評価
  • Diana Egorova
    研究テーマ:脳の老化に伴う細胞外マトリクスの分解機構